ブルーオーシャンでしか泳げない

日本とアジアで展開中のブランド「1carat」のCEO。 創業25年のデザイン会社主宰。撮る・歌う・弾く。

ダイヤモンドネイル創世記 -1-

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申し遅れたが、私はデザイン会社の他に「ネイルサロン」も経営している。

デザイン会社と並行して2003年に始めた「ダイヤモンドネイル」のためのサロンだ。

" ダイヤモンドネイル " とは、いわゆる「ネイル」に本物のダイヤモンドをアートする画期的な技術とサービスのこと。

 

「この小さなダイヤの良い使い道ないかねぇ、望月さん。

これ、小さすぎるからジュエリーにも使いづらくてね。」

 

代官山のジュエリー会社からデザインの依頼を受けた際に、1/300 ( 0.003ct ) カラットの微小ダイヤの " 新しい使い方 " の相談を受けたことがきっかけだった。

 

「これがそのダイヤだよ」

まるで " 砂のように小さなダイヤモンド "

サラサラと、小さなスコップから煌めきながらこぼれた。

 

ダイヤモンドに興味はない。

だが、その美しさに見とれている自分に気付く。

 

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デビュー当時のカタログに掲載された0.003ct のダイヤモンド ( 1石 1,300円 税別 )

 

早速、帰宅して妻にこのことを相談した。

ネイルに使うのも良いんじゃない? ネイルはこれから流行ると思うよ。」

その時の私は女性のトレンドに詳しく無かったが、この一言には「イケける」と感じたのだ。

 

そのジュエリー会社に「渾身の提案書」を持参したのは、それから2週間後。

 

そこには、きちんとブランディングされた「ダイヤモンドを石のまま販売する路面店」や、「それを取り付けるサービス」としての展開、「ダイヤモンドが贅沢に " 鑑賞 " できるカフェの構想」などをイラスト付きで丁寧に描いた。

そのビジュアルに、5カ年の経営計画書や広告用のキャッチコピーまでを更に添付した。

 

「うわ。凄いなこれ。うちにはこんな壮大な事はとてもできないな・・・。

これさ、望月君、自分でやったら?」

 

実はこの企画書を練っている間、構想そのものに「夢」を感じていた。

でもこれはあくまでも「頼まれた」もの。

自分用にするわけにはいかないな、と思っていた矢先の「申し出」だった。

 

 

今でこそネイルサロンの乱立で過当競争にまでなっているが、その頃ネイルサロンと呼ばれるものはほとんど無かった。

ネイルアートは、女性が自分で行うものだったのだ。

 

一部の店舗で「マニュキュアを塗る」または「アクリル ( スカルプチュア ) を使って爪の長さを出す」サービスがあるにはあったのだが、一般的には知られていなかった。

 

仮に市場規模が大きくなっても「本物のダイヤモンド」を扱うことで「差別化」を図ることができる。

ダイヤモンド以上に " 価値のある石 " はないからだ。

ビジネス的にも大きいのはこのポイント。

 

これからの成長が見込める市場で「本物のダイヤモンド」を扱うことを導入期で認知されれば、仮に衰退期を迎えてもブランドとして生き残れる算段がつく。

こうも感じた。

 

まずネイルにするということは「ダイヤモンドを繰り返し使う」ということが条件になる。ラインストーンなどと同様の「消費材という扱い」は、ユーザーからしたら「とんでもない話」だ。

 

ということは・・・「ダイヤモンド」をクリーニング ( 洗浄 ) する必要がある。

「ダイヤモンドは永遠の輝き」というフレーズは嘘偽りにしたくない。

 

そして、この微小なダイヤモンドを入れる「ケース」。

販売するにしても、持ち運びするにしても「紛失しない」ようにするためにはケースが必要だ。

 

それからの半年間は「ダイヤモンドネイル」のデビューに向けて試行錯誤を繰り返したのだ。

 

<ダイヤモンドネイル創世記 -2- へ つづく> 
pants-gaku.hatenablog.com

 

それじゃあ、また。